ゴッドネス・ティア
「急ごう、村が危ないのかもしれない」



背後で影がのそり、と起き上がった。



「こここ、こ、香月ー?!!びび、びーぃっくりしたぁー!!
起きるなら起きるって言ってよぉ……」



まだ寝不足気味に立ち上がった香月を見て、リュンマが素っ頓狂な声を発した。

耳元で叫ばれ、欝陶しそうにする香月は顔をしかめるだけで、窓へ近付く。



「……香月おはよう」



意外と律義なレオナは朝の挨拶をかかさず、香月に苦笑いを向けた。

朝じゃないけど。



「おはようレオナ。
すまない、いつの間にか寝てしまったらしいな私は…」



情けないと眉を寄せる香月に「別に」と一言返し、視線を窓の向こう…ケルサニオスに戻した。



「とにかく村がおかしいな…。
これはマスクをしていった方が良さそうだ」


「毒薬だったりするのか…?」


「…かもしれないな」



そう一言言って、スピードをあげようとムンマの所へ行こうと香月は窓から離れた。

が…













ム…ァ…ァアーーッ!!








「ムンマ?!」



それとほぼ同時にムンマが苦しげに唸り始めた。

異変にいち早く気付いたリュンマが一目散に駆け寄る。



「………クソ…、あのムンマの様子だと毒薬だな…。ムンマはここに置いていった方が良さそうだ」



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