ゴッドネス・ティア
村に入った一行は紫の霧の中、辺りを警戒しながら歩いていた。

皆、一人一人防毒マスクを着け、はたから見たらかなり怪しい一行である。



「うっわやべぇな、全く見えねぇぞこりゃ………どうするよ香月?」


「どうするもこうするも歩くしかないだろう。
ちんたら歩かずさっさと足を進めるんだな。」



物静かなケルサニオスに二人の会話が響く。

いつものように厳しく返す香月に「はいよ〜」と怠そうな返事をするレオナは特に足を速める気もないらしい。


かれこれ村に入って30分。

いまだに人影は見られない。


あまりの静けさに背筋が凍る。



「………不気味ですね…」



耐え兼ねたヒサノがポツリと呟いた。

それに同意するようにアランは小さな頭をコクコクと縦に振る。



「確かに、ここまで静かだと不気味だよね…」


「………だねぇ」



改めて村の静けさを実感し、先程までお喋りに花を咲かせていたリュンマも口を閉じる。

お喋りリュンマの声が聞こえなくなるとシーンと辺りが静まり返った。


ケルサニオスというこんな大きな村がここまで静まり返るなんて…

と皆、何か物音がしないかと聞き耳を起てる。



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