ゴッドネス・ティア
何も言い返せないヒサノは黙りこくって静かに俯いた。

ただただ唇を噛み締めて

細い肩が微かに震える。



「………ヒサノ」


「………」


「……先に進もう、…行くぜ」


「………うん」



レオナはヒサノのご乱心に慣れているのか落ち着いた表情でヒサノの手をひいた。



























「………スノーリア…酷い」



二人が先に行くのを見届け、それに付いて歩き出した残りの五人の最後尾の一人、リュンマは下からスノーリアを睨んでいた。



「私が間違っているとでも?」



リュンマの方も向かずに答えるスノーリア。

その表情は変わらず冷たい。


リュンマはそんなスノーリアの態度に更に睨みを利かす

その眼光は確かに騎士のものだ。



「違う、言い方が酷いって言ってるの!」


「…………」



珍しく強気な彼女に少し驚いたのか、一瞬目の端で見下ろすと、呆れたように溜息をついた。

欝陶しそうに目尻を押さえる


その表情にリュンマはまた更にムッと顔をしかめた。



「何その態度…………ってどこ行くの?!まだ話はおわってな――」



そろそろイライラしてきたのか、足を速めてリュンマとの距離を離していくスノーリア。

長身のスノーリアの歩幅は広く、身長の低いリュンマはそう追いつけない。


















「――――っ!スノーリアのばあぁぁーーか!!!」



しまいには、追いつけないと諦め、村中に響き渡る程の怒声をスノーリアに向かって叫んでいた。


まるで餓鬼の喧嘩だな、とアランは冷静に呟いていたのを二人は知らない。



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