ゴッドネス・ティア
その頃、馬車で仲良くお留守番をしているようにとレオナに言い付けられたヒサノとアランは、暇そうに床にベランダに腰かけ、投げ出した足でぶらぶらと遊んでいた。


仲良くお留守番って幼児かよ!という事を、レオナにツッコミもせずに行かせたのがすっきりしないのか、二人共不機嫌そうな顔でベランダの端をぶらぶらしている足で軽く蹴りだした。



「まったく、意味がわかりませんね!
私だってレオナと水補給くらいしたいですよ!!」


「僕だってレオナと探険したかった!なんでスノーリアさんだけ?!」



二人共ある人物のせいで文句を言っているわりには、好きをアピールしているご様子。

とばっちりでスノーリアが悪者扱いされているが、気付かないからか言い放題蹴り放題。

だんだんと蹴りの音が荒くなっていくがそんなの全然気にしない二人。


隠れて見ているムンマが小さく震えているのも気付かない。

ガンガンッと蹴りを入れる音はまるで、試合前の選手が必死にボールを壁に蹴り飛ばして練習しているような音だ。


何度も何度も。



ガンッガンッ!!

ガンッガンッ
























「ぅ…ぅん……?」



馬車内である大きく、細い影が動いた。



ガンッガンッ!!



「ぅわっ!なにこの音?!」



何かを打ちつけるような奇妙な音。

寝起きにこれは最悪だ。


あまりに大きなこの音に怯えという情が入り交じる。

何かしてるのか?









「私だって山巡りくらいできます!!」


「僕だって冒険したいよ!!」



利き耳を起ててみると、綺麗で細く高い少女の黄色い声と、まだ声変わりもしていない少年の怒鳴り声が聞こえた。

この二人を見るからに何か嫌な事があった様子。

















「……とりあえず顔出すか…」



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