ゴッドネス・ティア
「そちらの方々がレオナとアランですか？」



ファンが口を開いた。

張った声で後ろまでよくとおり、大人の女性の雰囲気が辺りを漂う。



「はい、ファン様」



頭を下げて答えるヒサノ。

つられてこちらまで頭が下がってしまう。



「私の名前はファン。
今日はあなたたちにお願いしたいことがありまして…ここに御呼びしたのです」

「お、お願い…？」



下げていた顔をあげる。

優しく微笑むファンが見えた。


銀髪に一滴ほど金を混ぜたような薄い金色の長い髪をサラリとはらう。


その仕種がゆっくりで、優雅で、目がはなせない。



「その前に三人は前に出て来て下さい。
そんなに遠くにいたら話にくいでしょう？」



ファンはそのままの笑みのまま、やんわりと手招きした。


ヒサノは堂々と先に進み始める。


アランもそれについていき、レオナはめんどくさそうにゆっくりと歩み始めた。


ファンの傍まで行くためには巫女の行列の間を通らなければならない。


チクチクと三人に視線が突き刺さる。


……なんで、俺がこんなとこいなきゃいけねーんだ！


レオナは今更ながらに思った。

不安と緊張の混ざり合った不思議な感情が頭をぐるぐると回り、拳を握っていた手が汗に濡れる。


やっとのことでファンの傍までたどり着いた。


間近で見ても、やはり大人の気品というものが漂い、美しい女性である。


目が見えないので瞼を伏せているのがわかった。



「さて、本題へ入りましょうか」



ファンの張った声で緊張が途切れた。


何故か安堵の息を漏らしてしまう。



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