ゴッドネス・ティア
その時、レオナに救いの女神が現れた。



「私は反対だ」


「………スノーリアっ」



女神、とはいえないし、肩にはつむじから水を放射するへんてこな鳥(白鳥とは言いたくない)を担いでいるなんともダサい姿だが、レオナには神に見えた。



「私はとくに人数などにはこだわらない。
レオナが誰に蹴られようと関係ない、のだがな…」


「………………なら、なんで…」



別に自分を助けてくれたわけではないとわかるとレオナのスノーリアへの感謝の気持ちは急降下。

おまけに軽く酷いことを言われている。


ヒサノもそこには注目せずに話を進めるのが尚ムカつく。

だが、ここは一応自分への賛成意見なのだから黙って聞こう、と震える拳を片方の手で抑えた。



「……理由は簡単だ」



表情を微塵も変えずに答えるスノーリアに、リンは顔をしかめた。

額には微かに汗が。


口元は変わらず笑んでいるが、明らかに焦っている。



「アラン」


「…ほぇっ?」



突然スノーリアに名前を呼ばれたアランは思考停止状態だった頭を叩き起こす、が口から漏れたのはなんともマヌケな返事。

先程まで空気と化していた自分に声をかけられるとは思っていなかったからだろう。



「おまえ、ケルサニオスから出発するとき、誰かにぶつかっただろう?」


「…………えーっと?」



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