ゴッドネス・ティア
「僕は嫌だ!盗っ人なんて大嫌い!!」


「あららー、アタシってばすごい嫌われようだねー。傷つくー!」



さも傷ついたように自分の胸元の服をきつくにぎりしめて、シュンと眉を垂れさせるが、その表情は全く悲しそうではない。


むしろこれからの発言を楽しむように目は好奇心で爛々と輝いていた。


だが、次のレオナの発言で、好奇心は驚きへの変わる。



「いいんじゃね?別に」



レオナの意外な意見。

先程の彼の意見とは打って変わった発言にアランは目を見開く。



「レ、レオナ…?」


「このまま置いていったら野垂れ死んじまうだろうし、人数が増えるのは気にいらねぇが仕方ねぇだろ」



仕方がないな、と溜息をつき、だがその口元には微かな笑みが。



「私も余計連れていきたくなりました!盗っ人の根性も叩き直してやればいいんですよ!」



最初っから賛成意見のヒサノも力強く頷く。



「ヒサノまで…」


「……………」



これにはさすがのスノーリアも驚いたらしい。


ヒサノはまだしも、あんなに反対していたレオナがあっさり承諾するとは思えない。


しかも盗っ人と聞いた後にいきなり気がかわったとは、どうも変な話だ。


自分はどちらとも言えないが、レオナとヒサノが承諾した今、三人の付き人である自分は意見する権利を持たない。


きっと、国王騎士もそうだろう。


アランは、レオナとヒサノが賛成した今、反論することも難しい。


決まりだ。


そう自分の中で決定付け、そっと目を伏せた。




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