ゴッドネス・ティア
「よろしくな、リン」



先程まで不機嫌だった彼、レオナは何があったのか満足そうにリンへ手を差し延べた。


リンはそれを不思議そうに見るが、しばらくすると口元をつりあげ、フッと効果音でもつきそうなくらい美しく、鼻で笑った。



「フフッ、意外な意見だね少年。でも有り難くついていくよ」



こちらも満足そうに微笑み、差し出された大きくも小さくもない握り心地の良いレオナの手を握り返した。



「むむ〜〜…」


「あら、ボクちゃんはまだ怒っちゃってんの?」


「ボクちゃんじゃない!!」



下からの視線に気付き、目線を下げると、そこには自分を睨みに睨んだボクちやんもといアランが仁王立ちしていた。


リンはそれを見て鼻で笑うと、少しからかってやる。


期待通りの反応、おもしろい。



「僕は仲間だなんて認めないんだからね!」


「えー、ケチー。アランくんたらお姉さん泣いちゃうよ?」


「勝手に泣いてろよ!」



男を落とすのによく使っていた潤目の上目使いもこの小さな少年にはきかない。


そんな少年に小さく内心舌打ち。



「えーっ」


「うるさいな!って触んないでよ!」


「いーじゃんいーじゃん」



嫌がる少年アランを羽交い締めにして、後ろに回り込む。


そして、頬に愛のキス。


チュッ



「………………え?」


「フフッ、ご馳走様♪」



思考停止のアラン。


リンの少し厚い唇が小さく触れた頬を押さえて固まる。



「フフッ!やっぱ男はおもしろいねー!」



そうアランへ決めゼリフを吐くと、アランから離れてレオナへ向かう。


一通り見ていたレオナはなんだなんだと顔をひきつらせて後ずさる。


リンが顔を近づけてきた。


目の端には、かなり不機嫌そうで今にもリンに飛び掛かりそうになっているヒサノと、興味津々の国王騎士が。


レオナの救いを求める心情など気付きもしない。




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