ゴッドネス・ティア
「アタシこの子気に入った!!」



覚悟して目をつむると、彼女の嬉しそうな上機嫌の声と、何か首辺りに温かい感触…


いやね、首に腕が回っていることも、ギューっときつく抱き着かれてるのはわかってんだよ?


にしては腕じゃない柔らかい何かが…


そっと目を開けると…



「ふぎゃっ!」


「フフッ、変な声♪」



なんと、首に、腕じゃない何かが…


女性特有の大きな二つの膨らみが…!


すると、突如、あの忌ま忌ましい記憶がフラッシュバック。


一人の男に群れるそれはそれは素晴らしい肉体美を持った美しい女性達。


男がふかしている煙草に火をつけ、離れ際にその潤った唇で男の頬にブチュッとキスを落とす。


頬には赤々とした口紅が…


その光景に全身掻きむしられるような寒気に襲われたのを覚えている。


それが、あの時と同じような肉体美を持った女性が目の前に、そして自分の首に腕わ回しているではないか!



「ぎゃああっ!」



Fカップはありそうなリンの胸が、レオナの首辺りにすりついていた。


それにレオナは奇妙な悲鳴をあげ、リンを自分から引きはがす。


その顔色は赤いというより蒼白。



「まじ無理…本気無理…っ!!」


「あらー、傷つく反応だねー。お姉さんには慣れてないのかい?」


「ち、近づくなー!」



男なら喜んで受け入れるナイスバティからの抱擁を逃げるかのように断然拒否するレオナ。


いつも喜んで受け入れてくれる男共と違うレオナに、傷ついたように顔を歪めるリンは明らかに楽しそう。



「俺、マジでそういう系統は無理なんだって…!」



じりじりじわじわと距離を空けていくレオナは真剣そのものだ。


そういう系統、という語源からして言葉にもしたくないのだろう。


そんなぶるぶるがたがた震えて小さくなっていくレオナを見届けると、リンは深い溜息をついた。




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