ゴッドネス・ティア
「のわぁぁあっ!!」


「レオナッ!!」



何故か体がフワリ、と浮いたかと思えば、風圧で服がばたつく。

あ、風圧で飛ばされる。
などと冷静に考えながらも、体は素直で喉からは情けない悲鳴が。


馬車から振り落とされる、と覚悟したが、ベランダの手摺りをがっちり掴んだスノーリアに間一髪で腕を掴まれ、床に顔面から飛び込んだ。


鼻は痛いが、生きていることにはかわりないので、自然にホッと安堵の息をつく。


だがそれもつかの間、重大なことに気付く。



「…俺、やっちまった?」



ムンマの暴走、その原因は首に巻かれた縄が締まってしまったこと。
そして、その原因をつくってしまったのが自分のような気がすること。

いや、気がするではなく、確実にそうなんだが。



「なんだなんだ〜!どうしたんだムンマは〜!!」



馬車内から香月らしき声が聞こたかと思うと扉が開く。
香月の姿が見えたが、風圧のせいで一瞬にして消え去った。


ドアは勢い荒く閉められ、びりびりとした感覚がこちらにまで伝わってくる。


ムンマを止められるのは国王騎士がよく知っている。

が、ここにいるのは何もしらない、ただの少年と、20代男性の二人。


どうやってムンマを止めろというのだろう。


しかもドアは風圧で開かないときた。


絶体絶命、ピーンチ。




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