ゴッドネス・ティア
そのとき、視界がグラリと一変した。


体もなんだか軽いし…


だが、気付くとすぐ鼻の先にリュンマの顔があった。



「ぐぁあっ!!」


「きゃぁあっ!!」



ゴチンッ☆



視界が一変したのは、馬車が傾いたせいだったらしい。


馬車はなんとか持ちこたえたが、おかげでバランスのとれなかった香月は真後ろにいたリュンマと顔面直撃をくらってしまったのだった。


体が一瞬浮いて勢いがあったせいか、大分…いや、かなり痛い。



「キャー!お二人共大丈夫ですか?!死んじゃダメですよー!!」


「ま、マジイテェ…」


「ぅぇえんっ、香月のバカァ〜ッ絶対おでこ赤くなってるよぉ〜っ!」



顔面直撃をくらった二人にヒサノが怖がるアランを支えながら声をかけるなか、二人は痛みに悶え苦しんでいた。


ちなみにリンは余裕そうに壁に寄り掛かっている。


国王騎士である自分達が負けた気がして、悔しい。


痛みはガタガタと車輪が小石にひっかかる音でも額に響く。



「私、レオナに縄の事言ってきますね!」


「ぅ、ぅう…悪い」



痛みで動けない香月を同じく痛みにうなされるリュンマに預けて勇敢なる巫女様は壁を頼りにドアへ向かった。


もちろん恐怖で固まっているアランをリンに任せて。


正直彼女に任せるのは不安ではあるが、アランを優しく宥めるように抱き寄せていたのでそこのところは高得点をあげておく。






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