ゴッドネス・ティア
ぶらり、とムンマの首から淋しくぶら下がっている縄。


スピードの出し過ぎの恐怖で取りたくても取る気が湧いてこない。


ぶらぶらと宙に揺れる縄はすぐそばのベランダ下に垂れ下がっているというのに…


いや、こんなスピードなんかで怖がっていてはダメだ、こんなんだから自分はヘタレとか言われるんだぞ!

勇気を出せ、俺!!


そう内心でもう一人の自分と格闘し、打ち負かしたのか自分の頬に素晴らしい平手打ちをかました。


ひりひり痛いがここは我慢。


ひける腰でソロソロとベランダに近づき、垂れている縄を離さないようにしっかり掴む。


うわぁ、掌グショグショ。


自分の手汗が縄に染みるのを感じながら垂れ下がった縄をゆっくりと引き上げる。


が、そこで運悪く、ムンマが鼻息荒くした。


ガタガタガタガタガタガタガタッ!



「ぅわぁぁああああっ!!」



急にスピードが上がり、しかも急カーブ。


ベランダから身を乗り出していたレオナは当然バランスを崩した。


床から足が離れ、ベランダの手摺りに腹を打ち付ける。


そして頭からゴツゴツした地面へ落下。


当然頭を打ち付け、スピードを出し過ぎていた馬車にまるでゴミのように蹴散らされる。


石ころでジャリジャリした地面に強く頭を打ち付けたせいか、ぐらぐらする。


あ、やっぱり血が出てる。




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