ゴッドネス・ティア
「痛いのは嫌いだ〜〜〜〜!!」


「……何を言っている?」


「血がぁぁあッ…?って、スノーリア?」



地面へ打ち付けられたはずの自分はまだ馬車の上。


がっちりとスノーリアに担がれている自分がしっかりとまだ馬車の上で生きている。


そして、素晴らしいことに右手にはしっかりと縄が握られていた。



「あれ、俺落ちたんじゃ…」


「…?私が落ちそうになったお前を引っつかんで戻したのだが…」


「…あれれ〜ん?」



ありがたいことにスノーリアは自分の尊い命を救ってくれたらしい。


てことは、さっきの血は危機を感じた自分が勝手に想像した空想の世界だったわけだ。


………自分がイタい。



「あ、ありがとうスノーリア…。俺マジで感謝してる」


「ああ、お前は本当に危なかっかしい」



呆れたように溜息をつくスノーリアに少しムッとするが、当然反論は出来ないのでお口はチャック。


男らしくたくましいスノーリアの腕から下ろしてもらい、右手の縄を持った。


これを引けば暴走ムンマを止められる、…はず。


レオナはヒサノとリュンマの言葉を信じて縄に力をこめた。


そして力一杯、体全てを使って縄を引く。



ムッ、ムァァアッ〜!



縄を引くと首が締まって苦しいのか大きな体を揺すりながら悲痛な悲鳴をあげるムンマ。


体が揺れるたびに馬車も揺れて恐ろしい。


だがスピードは少しおちたが、まだムンマは止まらない。



「ふンぎぎぎぎぎぎぃぃい〜ッ!」


「何をちんたらしている!貸せ!」



なかなかとどまる傾向が見えないムンマに嫌気がさしたのか、非力なレオナと共にスノーリアも縄を掴む。



ムァァアッアアァッ!!



レオナとは大分違う男の中の男、のような力。


レオナのヘッポコなどへでもない。


その証拠にだんだんとスピードがおちてきた。



ガタガタン…ガタッ…




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