ゴッドネス・ティア
「魔女の村、…着いたんだな…」


「そうだね。
……………レオナ大丈夫?」


「…………大丈夫に見えるか?」



馬車が止まった後、国王騎士達は相当怒り狂っていた。

当たり前、その矛先はレオナに向けられた。

レオナの体のあちこちは国王騎士の怒りの証拠を示すように、引っ掻き傷やタンコブが耐えない。

ちなみに頬に赤い手形がくっきりのこっているのは、ヒサノの平手打ちのせいだ。


責め倒してやろうとプンスカ怒っていたアランだが、こんなかわいそうなレオナを見ると、いつものように責めることはできなかった。


大分反省してすっかり自信を無くし、小さくなったレオナがかわいそうすぎてこちらが涙ぐんでしまう。


ムンマの暴走はそれはそれは大変だったが、いいこともあった。


普通なら30分かかる道のりをものの見事に10分でたどり着いた。


道中は大変だったが、被害は香月の鼻くらいだし結果オーライだ。


そして、ただ今、
ファン様の使者御一行+国王騎士は念願の魔女の村の前に到着したのである。


今までのつらい道のりを思い出し、涙ぐむ者もいれば、達成感で魂が抜けている者もいる。



「よーレオナ!!
おつかれさん!災難だったねー」



なにか物思いに浸っていると、背後から緊張感のキの文字もなさそうな色っぽい声が。


口調からして色っぽいなんて思いもしないのにコイツはどうしても女の糧を持っているようだ。



「災難なんてもんじゃねぇよ。災害だ、災害!」


「ギャッハハ!アタシは楽しかったんだけどねー。
国王騎士様方は大層ご立腹でしたねー」


「うん、鼻を赤くして殴ってきた香月とか、笑顔で引っ掻いてくるリュンマとか、何もしないけどかなりの殺気をこめて睨んでくるシャランとか怖かった…」



肌の痛々しい傷を見て国王騎士三人の怒りに震えた姿を思い出す。


正直めちゃめちゃ怖かった、だから反省。


そんなレオナを見て、リンは再び下品な女らしからぬ笑い声をあげた。



< 216 / 506 >

この作品をシェア

pagetop