ゴッドネス・ティア
あの余裕な笑み。


あいつそっくりだ、いやまだこいつの方がましだな…。




スーはしばらくニヤニヤとサロナを眺めていると、ふと真顔に戻った。


その表情には先程までの軽さはない。


獲物を確実に仕留めようとするハンターだ。


そして全てを見透かしたように、サロナを睨む。



「―――ッ見るなぁっ!!」



スーの視線に耐え切れなくなり、先程スーに弾かれたギョルロッドを握りなおした。



「地に呑まれろっ!!」



魔術に呪文など必要ない。

我が魂に呼びかけ、力を呼び起こす。


魂と精神は一心同体。


精神が乱れれば魂も揺らぐ。


荒々しくスーを囲って這い出したのは、地の割れ目だった。


先程の根より不安定で、勾々しい…。


スーは地に呑みこまれていく…


そう思った。




「…そういう風に感情的になるからあんたは駄目なんだよ」




…先程まで荒々しい地の中心にいたスーはいなくて、


そのかわり背後から奴の掠れた声がした。


金物が風を切るような…そんな音が頭上から空気を伝って来る。
















―――駄目じゃん、そんな感情的になっちゃ。


―――長になるには感情的になるより、大切なことがある。そんなんじゃこの先やっていけないよ。


―――長になる自信がない?馬鹿じゃないの?自信は自分の経験でつくものでしょ。あんたはまだ甘いんだよ。


―――お菓子好きなの?飴が一番好き?しょうがないなぁ…じゃあこれあげるから泣かないでね。











―――もう、また泣いてんの?サロナはあたしがいないと駄目ねぇ。







……………そうだよ。




















「―――――…ル………ッ」





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