ゴッドネス・ティア
スーから何度も切り付けられ、ふらふらで歩けないような状態だった華蓮。


だが、今では目の前に…弱冠足はや手が震えているが、しっかりとナイフを握って立っていた。


剣はスーにとられてしまったから…今手に持っているのはル・メイからちょろまかしてきたものだろう。


背後のル・メイに目をやると、やはり両手に握っていたはずのナイフが片方見当たらなかった。


木の幹を背もたれにぐったりと座りこんでいる。


スーが術を使いはじめてすぐにル・メイはあの力の塊に巻き込まれ、気を失ってしまったのだ。


彼女の腕、足、頬にはあちらこちらにたくさんの浅い傷がある。


その傷もなかなか痛そうだが、スーの重い蹴りをまともにくらった腹部は青黒く黒ずんでおり、さらに痛々しさが増す。





「くそ…ル・メイのやつオレが動かねぇように服の端にナイフ刺しやがったから服がボロボロだ…。
起きたら最初にアッパーくらわせてやる!」



寝転がっていたせいでついた服の土埃を手で軽く叩き、辺りにそれらしき粉が舞う。






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