ゴッドネス・ティア
「……………ないのか?」

「ち、……父上………ッ」



何故だ、何故だ、何故だ、何故だ、何故だ。




何故…涙の石がないんだ…。















ヤバイ、父上に……


どう説明すれば……ッ!!















「……………スー…」

「………父、上……」



父は、コツリコツリと靴音を起てながら、ゆっくりと近寄ってくる。


スーにはその一秒一秒が…永遠に感じられた。


逃げ出そうにも……足がすくんで動けない。




「………スー」

「………………はい」



目前まで来た父が、背丈が同じ程の父が、……ふと自分の頭に手を置いた。


その氷よりも冷たい手は、サラサラと流れるスーの髪をすき、撫でるようにとかす。


一般の家庭では、例外もいるが、このような家族の触れ合いは至福の時なはずだ。


だが、スーには……







……生き地獄でしかなかった。







運動をしたわけでもないのに全身から嫌な汗が流れ、息遣いが荒くなる。




一時でも早く、この場から消え去りたい……。



そう思っていると、

















――突如、頭に激痛がはしった。







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