ゴッドネス・ティア
何度蹴られただろう…



「かはッ…!」



今のは何度目?


もう、数えきれない程…。


意識が朦朧とするなか、……また父が叫ぶのが聞こえた。


そしてまた、



「ぐっ…」



鈍い痛み。


なんだかもう、麻痺してきたみたいだ。


……そんなことを考えてる間にも、体は重い衝撃に反動し、体を丸める力も残っていないのか、されるがままだ。


また蹴られた、


また、


まただ、



とうとう体が耐えられなくなったみたいで、スーは間近にあった数少ない階段の段から勢いよく転がり落ちた。



………痛い。



でも、



叫ぶ程じゃない。






落ちたスーに追い撃ちをかけようとしているのか、父はゆっくりと階段を下りてきた。


まるで見下すようにスーを眺めて、フンッと鼻で笑う。





「不様だな…、
……私達を裏切ったあの女にそっくりだ」



そう不敵に笑うと、

……ピクリとスーの指先が動いた。


力なく父を見上げるが、……その眼光は鋭い。




「…………なんだ、私に逆らおうというのかッ!!」



スーの目が気に入らないのか、父はその足で……スーの掌を踏み付けた。



「…………ッ!!」



さすがに神経の張り巡らされた掌は痛かった。


麻痺していた痛みが蘇り、顔がみるみるうちに険しくなる。


そして、…実の父は、もう片方の足を、……スーの頭に下ろした。


ぐりぐりと踏み付けられる頭。



蘇ってきた痛みに、……厚底のそれは耐え難い。



「…ぐぁっ…う、ぅぁッ……!!」



ぐりぐりと、




――まるで死骸を踏み付けるように。




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