ゴッドネス・ティア
「それは本当か!?」


「ああ、昔からかわりなーくムスッとしてた。アメリスの墓参りもしてたよ」


「そうかそうか…、この村に何か用でもあったんだろうな……」


「テリーには相変わらず似てなかった。ありゃ典型的な母親似だな」


「テリーか…最近会ってないなぁ…。相変わらずハゲてんのかな?」



その瞬間勢いよくソフィアがブッと吹き出した。

その下品な行為に男はアハハ…と渇いた笑みを漏らす。



「それは言わないお約束!!」


「あっははは、だってテリーじゃん」


「可哀相だろ!」



そう言いながらも彼女の笑いは止まらない。

堪えているつもりなのだろう、腹を抱えた腕が、肩が、静かにカタカタと震えている。


それもこれも…、あのキラリと輝くつるつる頭のせいだ、とソフィアは記憶の中の人物を呪った。


ひとしきり笑ったところでソフィアは目の端に溜まった涙を拭った。

まだ余韻が残っているのか、その口元はいまだ笑んだままだ。



「会いに行きなよ…親友なんだろ?」


「……うーん、あっちも忙しいだろうからねぇ。それに…」



男は悲しげに顔を歪めた。

その口元にはまだ笑みがあるが、となも切なそうに。


いつのまにか、自然にソフィアの口元も引き締まっていた。



「………あんなことがあったんじゃ…もう会えねぇよ…」


「………………そっか…」



きっと、今彼は昔の嫌な記憶を思い出しているのだろう。

忌ま忌ましい…でも忘れられない悲しい過去…。



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