ゴッドネス・ティア
一度家に帰り、買い物袋をおいて、仲のいい親子は少し大きめのカゴを持ち、目的の場所へと歩みを進めていた。


奥に行けばバンクロフト教会にたどり着くが、二人は仲良く手を繋いで全く別方向へ向かっている。


母のほうは歌まで口ずさみ、繋いだ手をテンポに合わせてゆーらゆらと揺らし、その母の手を離さないようにしっかりとにぎりしめている小さなレオナは嬉しそうに母の歌に耳を傾けていた。




「  赤いお姫様には
 愛しい人がおりました

  愛しい人は美しく
 国を揺るがす罪人で

  愛しい人に口づけを
 白い罪人と旅立ちました

  赤いお姫様と白い罪人
 一緒に暮らし幸せで


  最期まで共に
 愛しい人と共に


  赤いお姫様は
 眠りにつきました 」







大好きな大好きな母の声で歌われるこの歌…。


毎日のように歌ってくれるから覚えてしまった。


母以外に歌っている人は見たことないが、


レオナはこの歌が、何故かとても好きだった。


大好きな母が歌ってくれるからとか、そういうものなのかもしれない。




「素敵な歌でしょ?
大好きな歌なの」


「知ってるよ、お母さんいつも歌ってるもん」



その歌を歌っている母の表情は、


いつも幸せそうなのを知ってる。


何がそんなに幸せなのかはわからないけど、


母が幸せそうだからいつも自然にレオナのほうも幸せを感じていた。





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