ゴッドネス・ティア
「!?」



レオナの正直な発言に、リアは更に頬を赤く染める。

どういう意味で赤くなっているのかは知らないが、それはとても恥ずかしがっているように見えた。



「きゃっはは〜!
リアったらホントに真っ赤でやんのー!
そんなお兄様の顔見たらベルに失望されんぞ!」


「やかましいぞ貴様ぁ!!」



口を抑えて美しい顔を笑いに歪めるソフィリスィアを、リアが勢いよく椅子から立ち上がり捕らえようとテーブルのまわりを追いかけまわす。


レオナの方はまだ先程のリアの恥じる顔の意味が理解できず、眉間にシワを寄せて唸っていた。
















「アメリスのピアノが聞きたい!!」



リアとの追いかけっこがすんだころ、ソフィリスィアが発したこの言葉。

ワクワクと輝かしい笑みを見せながら、部屋の隅にピンクのカバーをかけられたグランドピアノを指差す。


そういえばこの部屋にピアノがあったんだな、と今気付いたようなクラウスの発言は無視して。


レオナも目を爛々と輝かせながら困ったように微笑む母を見上げた。


母のピアノは好きだ。

まあ母の嫌いなところなどないのだが。


今まで、父に連れられてたまに有名なピアニストといわれる女性ピアニストの公演を見に行ったことがある。

王都での公演もできる人なのだからきっと素晴らしい演奏家に違いないと、耳の肥えたレオナはルンルン気分で着慣れない正装でキラキラと眩しいホールを歩いた記憶がある。


さすがに有名なピアニストだから聞きごたえはあった。
しかし、レオナからしてみれば母のピアノの方が断然素晴らしく感じられた。


技術やテクニックなどはないが、そんなものよりどこか引き付けられるようなものが母にはあったのだ。




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