ゴッドネス・ティア
回る、回る、


ぐるぐる回る。



それはまるで輪廻のように…




『メアリージュン』のリゼッテのワルツ。

それはグッリューニの代表的なオペレッタの中のまた有名な曲。

曲調はゆっくりだが、和音が複雑だったり指がついていかなかったりと結構な難がある曲だ。

その軽い曲調は、まるで…



「……これワルツか?」



音楽に疎いクラウスが首を傾げる。

そんなクラウスでもわかるほど、これは…



「………即興か」



ポツリとリアが呟いた。


リゼッテのワルツは名の通りワルツのはずである。

だが、レオナはワルツではない方向で即興で変奏してしまったのだった。



「ぅわ〜なんてこった…。
あのアメリスが伴奏してるみたいだ…」



レオナの傍らで楽しそうにピアノを奏でるアメリスが目に入り、ソフィリスィアは困ったように目尻を押さえた。


アメリスの傍らで真剣にピアノを弾く小さな少年……

彼のピアノの音は、


あのアメリスの美しい表現さえも背景にかえてしまうのか。



まるで鈴の音、鳥のさえずり、川の流れのような…



素晴らしい音………





たった五歳で、


ここまで弾けるのか。




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