ゴッドネス・ティア
「リン、わかってんだよ、……………出せ」
真剣な面持ちでリンを見据えるレオナは、いつもより大人っぽく見えた。
さすがのリンも眉を潜め、笑みを浮かべながら憎らしげに舌打ちした。
「………ご明答。
たしかにアタシはスーから石っころを盗んでやったさ、…兄ちゃんったら急いでたみたいでさー盗まれたことにも気付きやしないんだよー?ウケるんですけどー」
降参だ、とでも言うかのように両手をひらひらさせていつもの緊張感のない笑みを作った。
焦っているわけでもなく、怒っているわけでもなく……ただ嬉しそうに笑みを浮かべる彼女。
…………何がそんなに楽しいのか。
「…やっぱりな、ほらみろスノーリア」
「……なんだか納得出来ん。リン…貴様はいつスーから盗めたのだ」
険しい表情を浮かべながらリンに問い掛けるスノーリア。
スノーリアでも認識できなかった程だ、かなりの計画を練って盗み出したにちがいない。
「えー、知りたい?
アタシばれるんじゃないかってドキドキしてたのにー。アタシってばすごーい。
……………………………はいはい、お堅いねー」
自分を褒めるのは後にしろ、と目で訴えるスノーリアにリンは溜息をついた。
そして再び口を開く。
「…スーにドーン!てぶつかったの」
…………はい?
あれですか、あのスーが森を去るときの嫌味な体当たり。
「………ドーン?」
「……なるほど」
一人わかっていないレオナは放置。
スノーリアはスーの去り際を思い返していた。
………たしかにかなり大袈裟にぶつかっていた。
「名付けてー『これは嫌味とか攻撃だと思わせておいて実は盗まれちまったぜ!作戦〜〜』!!」
……頭がいいのか悪いのか。