ゴッドネス・ティア
リンの不真面目さに溜息をつくスノーリア、その隣には一人わかっていなさそうなレオナが不思議そうに首を傾げていた。

リンの方は何故か困ったように笑みを深める。





「……えーと、涙の石って必要だったんだっけ?」


「当たり前だ。あれがないと帰れん」



当然だ、と言うスノーリアに………リンの笑みが一瞬強張った。

あー……、声を漏らしながら頬を指で掻きながら視線は明後日の方向で…、



「……何を焦っている?」


「……………アハっ!」


「そんなかわいこぶった笑み見せても何も感じないぞ。
とにかく早く涙の石を渡してくれると嬉しいのだが…」


「そーだそーだ!早く渡してくれリン!頼む!」



何故か不審に思える気持ち悪い程かわいらしい笑みを浮かべたリンを見て苦笑いを浮かべながら言うスノーリアに、レオナは賛成と言わんばかりに声を張り上げた。


勢いに押されてか、ついにリンは笑顔のまま頷く。



…………そして、


















「ごめん!」





……………?


何やら目の前の美人が両手を合わせて頭を下げてきた。

………何故?


何故謝る…?



「なんだよリン、お前が謝るなんて気持ち悪ぃぜ。とっとと頭上げて石を渡してくれよ」


「………………それがさ」





軽く顔を上げたリンの表情には……苦々しい笑み。

何を思ったらそんな苦い顔になるのか。


そして再びその美しく整った唇が開かれた。



「涙の石……………」



その声には今まで聞いたことない程緊張感がつまっていて……

だが、また再び唇を開いた時にはその理由がわかった。


























「………売っちゃった」



< 350 / 506 >

この作品をシェア

pagetop