ゴッドネス・ティア
数少ない情報を国王騎士達に話してみると、げんなりしながらも「調べてみる」と言って少しの間村を離れた。


売った当人は謝ってはいたものの、あまり反省はしていない様子で余計腹が立つ。


リンにとって涙の石はどうでもよい物かもしれないが、こちらにとっては金より大事な物なのだから。








そして、今寒空の下で佇んでいるレオナといえば………




「あー!レオナったら駄目じゃないですかー!ちゃんと横になっていないと!」



パタパタと地面を蹴る音と彼女特有の甲高い声。

背後から迫ってくるヒサノを苦笑しながら振り返った。



「ごめんごめん。ちょっと外の空気が吸いたくなってさー」


「むーー……」



口を尖らせるヒサノを見下ろして微笑むと、…彼女もつられてか嬉しそうに微笑んだ。



「それならいいんですけどね!
レオナったら意外にも体弱そうなんで今日はしっかり私が面倒見るって決めたんですから今日はしっかり休んでもらいますよ!」


「はいはい、分かってますよ」


「外に出たいならもっと厚着しないと風邪ひきますよ!カーディガン一枚なんて薄すぎます!」


「………はいはい」




……相変わらず口うるさいヒサノ。


(……お前は俺の母ちゃんか)







それでもレオナが少し元気になったのが嬉しいのか、始終機嫌良く笑みを浮かべる。

そういうところは少女らしさがある。



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