ゴッドネス・ティア
「おぉそぉおぉいぃぃいいーっ!!」



パオーレの一番大きな広場…待ち合わせ場所にアランが怖い顔で仁王立ちしていた。


その隣ににこやかな笑みを浮かべるヒサノもいる。



「ワリィ、ワリィ!剣取って来たから遅れた!!」



アランのご機嫌を伺う。


いや、見るからにご機嫌ナナメなのだが…。


ふと、アランの肩にかかっている弓が目にはいった。



「あれ…?おまえ弓なんか持ってたっけ?」

「持ってるよ、だからできるんでしょ?」



フンッと鼻を鳴らすアラン。


……なんかむかつく。


レオナは眉間にシワを寄せ、首を傾げた。


何か一つ足りない気がするのだ。



「…矢が無くね?」



矢が無い。


矢が無いと弓は意味を持たない。


そのレオナの思いを察したのか、説明に入ろうとアランは口を開こうとした。


だが、邪魔が入った。



「やーい、やーい!
おいチビ!!教会に行ったからって調子にのってんじゃねぇーぞ!!」



話を遮られたアランは不機嫌極まりない表情で声のする方向を振り向いた。


細くて小さめの目。
一重の瞼。
よく似合うそばかす。
小太りの顔。
パサパサとした手入れの行き届いていない少し色の抜けた黒髪。


声の持ち主はがき大将のピートだった。



「そうだ、そうだ!
ただのチビが調子にのりやがって!
おまえが教会に入れるなら俺達だって入れるはずだ!!」



ピートの後ろの奴が叫ぶ。


先程からアランはチビチビとピーチクパーチク言われているが、実際ピート達の方が小さいのだ。


しかも、アランの方が年上である。




< 36 / 506 >

この作品をシェア

pagetop