ゴッドネス・ティア
難しい表情で黙り込むレオナ。


これは断ったほうがいいのか、頷いたほうがいいのか……自分だけじゃ決められない。

見たところヒサノも悩んでいるようだし……スノーリアも何か考えているのだろうが彼はこの旅のことについてはよっぽどの事がないかぎり口を挟まない。


……そう悶々と考えてはいるものの、サロナは付いてくる気満々だし、一応命を助けて貰ったようなものだ。

断るに断れない。


















―――……ジョージ。


―――…なんですかサロナ様。


―――…あたしが考えている事……、わかっているな?


―――……………。










魔術の一種である『意思伝達』。
サロナは魔力があれば誰でも出来る簡単なそれを使ってジョージと会話をしていた。

頭の中で響く相手の声。


それはもちろんレオナ達には聞こえていない。











―――……………でも僕は口を挟んだら駄目なんでしょう?そうなんでしょう?


―――……おまえは黙ってあたしの言う通りにしていてくれればいい。……帰りは遅くなるだろうが…。


―――…大丈夫ですよ、僕は。サロナ様が無事帰って来られる日をまーったりと待ってますから、急がずに行ってきてください。













主人の我が儘には慣れている。
言い出したら聞かない人なのだから止めたって仕方がない。

ジョージはしゅん…っと寂しげに瞼を伏せた。









―――……ご無理はなさらずに…。


―――…フッ、あたしを誰だと思っている?
……あの殺人鬼だぞ?


―――……………。





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