ゴッドネス・ティア
「まったく、下克上かよ…」



11才とは思えない難しい言葉を使い、溜息をついた。



「レオナ、毛黒女ってなんですか?」



……14才のヒサノが聞いてきた。


しかも、文字おかしい…気がする。


思わず顔が引き攣る。



「…毛が黒い女?」

「はあ!そうなんですか!
また一つ賢くなりました!!」



純粋なヒサノは本当に信じた。


信じてる時点でもう賢くない、とレオナは思う。



「チビのくせにでしゃばってんじゃねぇーよ!!」



アランの足元にペッと唾を吐き捨てる。


さすがに自分より大分大きいレオナにはちょっかいは出さない。


ピートの行動には、さすがのアランも顔をしかめて言い返した。



「チビチビってうるさいなぁー!
実際そっちの方が小さいくせに!!
もう行こう、レオナ、ヒサノ!!」



ギロリと睨んでそう言うとパオーレから出ていこうと足を進めようとした。



「おーー、逃げた!
俺達が怖いんだぜ!!
やっぱり腰抜け野郎だっ!!
ギャハハハハハハハハハ!!!!」



ピートはバカ笑いをしてアランを指差す。


アランの動きがピタリと止まった。


そしてこちらを振り返り、大将達をありったけの憎しみをこめて睨みつける。


レオナの背中に悪寒がはしった。



「マジギレ寸前…?」



顔を引き攣らせながらポツリと呟いた。


これまでアランがマジギレしたときの事が頭の中をグルグル廻る。



「だあぁぁぁああれが、腰抜け野郎だってぇぇえ?」



妙に声が低い。


身の危険感じ、そそくさとその場を退散した。


ついでにヒサノも引っ張って草陰に隠れる。


こういう時は逃げた方が身のためなのだ。



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