ゴッドネス・ティア
華蓮にはまだ見ぬ痴漢呼ばわりされている人物と論争を続けるル・メイはハンモックから飛び降り、聞きたくないと耳を両手でふさぎ込み、なんということか…例の人物に蹴りを入れ始めた。



「い、痛い！普通に激しく痛…ぐはッ」


「嫌っ！触らないで触らないで触らないで触らないで！！」


「いや、触ってないでしょそっちが蹴ってるんでしょ…げふッ！」





………なんだか可哀相なことになっている。

そろそろ止めようと華蓮とハンモックから飛び降り、痴漢呼ばわりの人物をその目に映した。




「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って！マジで、いやマジで止めてください！地味じゃなく激しく痛いですこの蹴り！」


「痛くしてるんだから当たり前でしょ！」


「…なにそのＳ発言…あだッ！ごめんなさいごめんなさい！止めてーー！！」








（………………）


我が身を守るため亀のように丸くなっている哀れな男がいた。

ル・メイの鍛え上げられた脚力で蹴られ、身に着けている衣類や薄地のマフラーや赤茶の短髪が土で汚れていく。







そろそろ本当に痣や傷が出来そうなので、哀れな男のために止めてやろうと華蓮は溜息をついた。




































「いや、マジですんません。ちょっと最近いろいろ忙しくてストレスっつーもんが溜まってたっつーかなんつーか魔が注したっつーか…とにかくすんません」


「……謝って済むなら処刑場いらないよね？ねえ華蓮ちゃん？」


「……ル・メイ、無駄にナイフを取り出すんじゃありません」




ル・メイは此処を処刑場にするつもりなのだろうか……。ナイフを取り出して何時でも投げられるよう攻撃体制に入っている。



今までの騒動の理由を説明すると、こうだ。

どうやら華蓮とル・メイは、何故か木に昇っていた目の前で土下座する男の上に落下し、直撃しまったらしく、そしてちょうど自分の掌の上にル・メイのお尻が乗っていて……自重出来なかった。ということらしい……。



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