ゴッドネス・ティア
「涙の石って緑の荷馬車の商人に売っちゃったんでしょ?………緑っていったらやっぱり江戸州だよねー」
「……だろうな。変な服っていうのも江戸州文化の着物の事だろうな」
「ここから近い街は………『紅桜市街』…でしょうか?」
そのころ、難無く危機を脱した三人組はこれからの事を会話しながら、またもやはぐれてしまった華蓮とル・メイの二人組を探し歩いていた。
『伸白布』を辿って行けば見つかるだろうと、白い列と緑の草を掻き分けながら進む。
「リンも厄介な事してくれる……。おかげでこっちは…、人がたくさん居そうな街へ行こうとすれば、ル・メイの方向オンチに騙されるし、戻ろうと思えばなんかピクニック気分の華蓮とリュンマが山登りしたいとか馬鹿げたこと言いやがるし、…………崖から落ちるし…」
沸々と今日のイベントを口に出す香月のテンションはだんだんと声色と共に下がっていく。
その隣で「あっはーごめんなすって!」と肩を叩いてくる異様にテンションが高いリュンマがいる。
地味に痛いぞ肩。
「過ぎた事を考えたって仕方ないです。これからはル・メイさんと華蓮さんとリュンマさんをどう香月さんが教育するかにかかっているのです。がんばってくださいおうえんしてます」
………なんだか最後の方が棒読みだった気がするが。
シャランの少しズレた方向のプラス思考に、香月は渇いたような薄ら笑みを浮かべた。