ゴッドネス・ティア
「にしても深い森だな……。誰だよ山登りしたいとか言った奴、山じゃないだろ。ジャングルと化した森だろ」


「大分長い間人も通ってないみたいだから道らしい道もないしねー。こんなところで人に出会えたらびっくりだね!」


「まあ出会えたらその人、かなりの変わり者なんでしょうね。まあいないでしょうけど」






ダラダラと歩きながら世間話をする三人。

道らしい道がないため、草を掻き分けるのも面倒になったのか持っているナイフで邪魔な草を斬り進んでいる。








がさがさ、と草の擦り合う音が煩いのか香月は欝陶しそうに顔をしかめた。

だがつかの間。
草の擦り合う音と混ざって、……聞き慣れたような声が耳に入る。


それがル・メイの物だとはすぐにわかった。

しかし……何故喚いているのだろう。



華蓮と喧嘩をしたのかもしれないが、ル・メイより馬鹿でかい華蓮の声が聞こえないので、それは違うらしい。


















「変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態変態!!!!」




………何事?
ル・メイの口から、華蓮に向けているわけではなさそうな罵声が飛んでくる。

変態?何が変態なんだ?

















目的の人物が喚いている姿をとらえ、三人は目を丸くした。
















「俺っちの名前はクレストねー。睨みの効く君は華蓮ちゃん、そして蹴りの凄まじいお嬢さんはル・メイちゃん…………………めんどくさいし華蓮とル・メイでいっか。あ、俺のことクレちゃんって呼んでくれてもいいよ、その方が親しみが持てるでしょー?はい一緒にー」


「誰が呼ぶか!馴れ馴れしく名前で呼ばないでって言ってるでしょ変態…!変態変態変態変態変態変態!!!!」


















………なんですか、これ。

何があったんですか、これ。

どうされたんですか、これ。



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