ゴッドネス・ティア
なんということか、………ル・メイが見知らぬ男に怒鳴り散らしている。

その隣で呆れたように華蓮はこめかみを押さえたまま溜息をついていた。

その華蓮がふと顔を上げ、………こちらに気付いたようだ。




「……香月さん！リュンマさんにシャランも…！見つかって良かった……」


「ああ……………それで華蓮。この男は何だ…？」



ル・メイに蹴られながら「いやーん蹴らないでー」などとほざいている男を見下げ、呟いた。



「ああ……実はオレ達がここに落下する際巻き込んでしまったようで、
……………………………………ル・メイは怒ってます」


「……説明をめんどくさがって省くな」



説明がただめんどうらしい華蓮に溜息をつき、……遂には立ち上がって攻防戦を繰り広げ始めた男女に目を向けた。

まるで猫のように、シャーッ！！！とクレストとかいう男を威嚇するル・メイを後ろへ押しやり、クレストに向き会い、


……深く頭を下げた。




気品を纏わせ、胸にあてた手の指先まで高貴なる騎士の威厳を放っている。

やはり、やる時はやるリーダー香月。そんな彼女の小さな口が開かれた。



























「……こちらの二人が多大なるご迷惑をおかけしたようだ。…貴方も怪我をされていることと存じます。治療費はこちらでお払い致しましょう」




















その姿勢よく腰から下げられた彼女を見ながら、クレストは目を丸くした。

一風有り難き対処に聞こえるこの治療費話。


一般人側からすれば、「あら、治療費なんて何て有り難いの。遠慮なく戴いちゃいましょう」のようなちゃっかりした反応か、「治療費なんて当たり前だろコノヤロー。治療費に上乗せして心の治療費払えバカヤロウー」とかいう傲慢な野郎が考える思考か、……多分どちらかだろう。







だが、生憎クレストは………









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