ゴッドネス・ティア
「あーすまないねー。確かに骨の一本や二本折れてるかもしれねえが、……生憎俺は治療費請求する程金に困っちゃいねえんだ」
にんまりと笑みを作って口笛を一つ吹いた。
………まるで挑発するような。
……内心驚いた。
治療費話を持って行って話を解決させた後、さっさとこの厄介な男を取り払おうと考えていたのだが……。
ああ…、めんどくさい。
この男、思ったよりも厄介だ。
…………変な感じはしてたが、こいつまるで…。
(………人の心を見透かしているようだな…)
誰にもわからない程度に顔をしかめた。
さっさと帰って情報収集がしたいのに……厄介だ。実に厄介だ。
…痛むのか、脇腹を軽く押さえながら笑みを浮かべるクレスト。
その深い海の底のような瞳は……一体どこを見ているのか。
ただ単に、香月を見ているのか、…………その奥を見透かしているのか。
そして、その口から痛みを訴える呟きと共に、………目を見張る言動が漏れた。
「……色々と大変そうだねー……女国王騎士のリーダーさん」