ゴッドネス・ティア
「リンこそ、こんな時間になんで起きてんだ?もうみんな寝静まってるぜ?」
「………そういうレオナも寝ないのかな?」
「俺は三日三晩爆睡こいてたんだ。今更寝られるか」
「あー、そっかー」
他愛ない話をしながら、寝る気のないらしいレオナはリンが腰かけている窓の近くにある小さな椅子に、どっこらしょ、と腰かけた。
タオルで濡れた髪をガシガシと雑に拭く。
「……………なんの歌?」
「…………ん?」
「……今さっきリンが歌ってたやつ…」
「…………ああ…」
納得したのか、小さく笑みを浮かべて、リンはまた窓の外へと視線を移した。
ぽつんと、真っ黒な世界に一つだけ淋しげに浮かぶ白銀の月を見上げる。
「アタシの国…ヒュネット国にある…サン州っていう州があるんだけどね…」
「…うん」
ぽつり、と呟くように話し出したリンの言葉に相槌をしてみた。
リンはただ静かに淡々と続ける。
「……そのサン州の子守唄だよ。……母が子供に歌う…子守唄。…………アタシの故郷なんだ」
「……リンって、サン州出身なのか?」
「ああ、そうだよ。貧乏な州でさー、困った困った」
そう言ってケラケラ笑うリン。
淋しいとか、懐かしいとか、そういう感情は混ざっていない。
サン州といえば、人間の国ヒュネットの二つある州のうちの一つ。
一つはクラット州。
もう一つが、サン州。
サン州は十年前の大戦争により大打撃を受け、世界でも一、二を争う貧乏州になってしまったとかいう噂は耳にしたことがある。
窃盗や餓死者が絶えず、かなり治安が悪い状態が続いていたようだが、最近になって大分マシになったとは聞いている。
「………なんで、リンはここにいるんだ?」
ただ、なんとなく質問してみた。
サン州出身で、何故リリオ国のケリサニオスで踊り娘を?
敵国に入国するだけでも命懸けだろうに。
「………そういうレオナも寝ないのかな?」
「俺は三日三晩爆睡こいてたんだ。今更寝られるか」
「あー、そっかー」
他愛ない話をしながら、寝る気のないらしいレオナはリンが腰かけている窓の近くにある小さな椅子に、どっこらしょ、と腰かけた。
タオルで濡れた髪をガシガシと雑に拭く。
「……………なんの歌?」
「…………ん?」
「……今さっきリンが歌ってたやつ…」
「…………ああ…」
納得したのか、小さく笑みを浮かべて、リンはまた窓の外へと視線を移した。
ぽつんと、真っ黒な世界に一つだけ淋しげに浮かぶ白銀の月を見上げる。
「アタシの国…ヒュネット国にある…サン州っていう州があるんだけどね…」
「…うん」
ぽつり、と呟くように話し出したリンの言葉に相槌をしてみた。
リンはただ静かに淡々と続ける。
「……そのサン州の子守唄だよ。……母が子供に歌う…子守唄。…………アタシの故郷なんだ」
「……リンって、サン州出身なのか?」
「ああ、そうだよ。貧乏な州でさー、困った困った」
そう言ってケラケラ笑うリン。
淋しいとか、懐かしいとか、そういう感情は混ざっていない。
サン州といえば、人間の国ヒュネットの二つある州のうちの一つ。
一つはクラット州。
もう一つが、サン州。
サン州は十年前の大戦争により大打撃を受け、世界でも一、二を争う貧乏州になってしまったとかいう噂は耳にしたことがある。
窃盗や餓死者が絶えず、かなり治安が悪い状態が続いていたようだが、最近になって大分マシになったとは聞いている。
「………なんで、リンはここにいるんだ?」
ただ、なんとなく質問してみた。
サン州出身で、何故リリオ国のケリサニオスで踊り娘を?
敵国に入国するだけでも命懸けだろうに。