ゴッドネス・ティア
「あの木に俺は小石、おまえは矢を10回あてる。そのなかで多く当てたほうが勝ち。
どうだ、簡単だろ?」



そう言うと、よっこらせっとしゃがみ込み、小石を拾い始める。


やる気満々らしい。



「俺、かなり命中力あるんだぜ?
さあ、俺に勝てるかな?
俺に勝てたら旅の事許してやってもいいぜ」



グーと指を立て、健康的な八重歯をチラリと見せる。


太陽の光に反射して、ちょっと眩しい。



「その勝負うけてたつ!」



そして、二人の少年の闘いが始まった。


一方、その様子を心配そうに眺めている仮保護者等は閉じていた口を開いていた。



「あれ…?」

「どうした、ヒサノ?」



眉を潜めて首を傾げる彼女につられてこちらも首を傾げる。



「アラン…矢がありませんね…。
矢がないと出来ないのに…」



レオナは絶句した。


先程までそれについて話していたのに…


どうやらレオナとヒサノの会話は絡み合っていなかったらしい。


呆れすぎて言葉が出ない。


かわりに深い長い溜息がその冷たい空気と共に流れた。








ピートは小石を拾い終わったらしく、スクッと立ち上がった。



「じゃ、俺からいくぜ!」



威勢のいい掛け声と共に小石を枯れ木に投げた。


ピートの小石は綺麗な放物線を画いて枯れ木に見事に命中する。



「オー!さすがピート、やるなぁ!!」



ピート側のグループの少年が一人声をあげる。


それに続いてワアワアと歓声をあげるグループの子達。



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