ゴッドネス・ティア









「………リンは寝ないのか?」



笑いながらもよく見れば必死に眠気を抑えているようにも見えるリンに尋ねた。

欠伸を噛み殺して微笑むリンを見ていると………かなり疲れているように見えなくはない。


いや、正に疲れているのだろう。





「……あー…、そういえばアタシ三日間寝てないわ」



小首を傾げながらリンは苦笑した。


その顔にはいつものような…何かを楽しむような元気は感じられない。

心なしかふらふらしているし。


眠たければ寝ればいいじゃないか。
そう思うが、何故かリンにベッドに入るような気配はない。



「……なんで三日も寝てねーんだよ。別にすることもないんだから俺が爆睡こいてる間寝てりゃよかったのに」


「いやー……何となくね。明日馬車ん中でゆっくり寝るさ」


「いや、今寝ろよ。明日馬車で寝るったって寝る場所があるかよくわかんねーし」


「遠慮しとくよ。アタシ今晩は月を眺めておくさ」


「いや、月はいいから。月なんて明日にでも散々見れるだろ。今日寝ないと当分ベッドとさようならだぞ」


「アタシ床が好きだからベッドはあんまり」


「床とかベッドとかは実はどうでもいいんだって。俺は体力を付けるために寝てほしいんだけど」


「せいぜいぶっ倒れないように努力すっから。アタシ体力には自信あるし」


「………………」


















…………なんでだ。

なんでそんなに頑固なんだ。




いつもは、話し合いをしている間でも「アタシは関係ないからー」とか言ってめんどくさがって何も考えないのに。




< 390 / 506 >

この作品をシェア

pagetop