ゴッドネス・ティア
「……っ止めろよ!」



なかなか上手いように逃げ出せない苛立ちを募らせて、目の前にあるリンを睨んだ。

だがリンはどこ吹く風で、余計に楽しげに笑みを深める。



「……抵抗されると余計燃えるよねー?」


「………っ!!!」



リンの顔が近寄り、本当に身の危険を感じた。
首元に顔を埋められ、血の気がどんどん引いていく…………その途端。


何か、……何かが。
何かが行動を起こし、それは更に嫌な感覚を倍増させた。

背中に嫌な汗が、そしてぞわっとした悪寒が。







「……………おまえ今何した?」


聞かなくても分かるが、……分かりたくなかった。

冷や汗諾々。もう笑ってなんかいられない。

そんなレオナの心境を知ってか知らずか、リンはまたもにかやかに微笑んだまま口を開いた。







「何って、耳舐めただけよー?」



ああ、やっぱり。

やりやがったなこの女。

今自分の顔を見たら、きっと今までにないくらい引き攣っているだろう。きっとそうだろう。


あまりの気持ち悪さに体が固まる。

なんだか訳のわからない物がぐるぐると頭とか心臓とか、もしかたらあんなとこやそんなとこまで回っているような気がする。

とにかく不快だ。不愉快だ。



冷や汗ダラダラながら硬直し、大人しくなったレオナを見てリンは気合いを入れ直すようにレオナの腕を掴む力を更に強めた。

痛むのか、顔をしかめるレオナなんか無視だ。最近の男はひ弱だねー。とか暢気に思いながら、にっこりと微笑み、………恐ろしい事を口にした。




















「じゃあ、いっただっきまーす」


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