ゴッドネス・ティア
それはもう、とても美しい放物線を描いて、レオナはベッドから数メートル離れた壁へと激突した。

背中を強打したせいか、一瞬息が詰まった。


じんじん、とそんな生半可なものではない痛みを背中に抱えながら酷くむせ返る。



「…いっ…てぇ……」



痛みで体が動かない。

情けない、女一つの蹴りでここまで飛ばされ、ここまで重傷をうけるとは。


なんだ?リンは実は怪力だったりするんじゃないのか?


そんなことをこれまた痛む頭で悶々と考えてみる。

がんがんと嫌に頭が回る中、レオナの耳には聞いたことないような罵声が入った。







「……こんの糞餓鬼…ド阿呆…エロ河童!!!すっきりしたか…?アタシに仕返しが出来てさぞや清々しただろうね!こんな形で返して来やがって……!とんだ予想外だよっ!!この卑怯者!!アンタなんて肝っ玉意外に下の玉も小さいんじゃないのか!?この玉無しっ!!……もーー…!なんなんだなんなんだなんなんだ!!いったいアンタなんなんだーーー!!!」






















「………………………」


なんというか、言葉の返しようがなかった。

これは謝った方がいいのか?いやでもこれは仕返しだし。


まるで別人のように甲高い声で叫びに叫んでいるリンに呆気に取られながら、まだ痛む背中を摩った。

彼女からでる言葉は相変わらず下品な言葉ばかりだな。
そしてかなり失礼だ。
レオナの人格そのもの以前に、性別までも否定している。



レオナ自身も「失礼だな」とか「甲斐性なし」とかよく言われるが、あそこまで思い切った失礼発言はしたことがない。

ある意味リンを関心した。


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