ゴッドネス・ティア
なんだか一気に疲れた。もうどうでもよくなってきた。

三日三晩寝たはずなのだが、極度の疲れによって眠気が復活した。



(……もう知らねぇ。こんな女放っといて寝よう、そうしよう)



上半身を起こして今だ怒りか何かに震えているリンを視界から外し、痛む我が身を哀れみながらゆっくりと立ち上がった。

のっそのっそと若者らしかぬだらし無い歩調で部屋の出口へと向かう。リンなんか完全に無視だ。


とにかく、疲れた。

















「…………………………眠い」


リンが騒がなくなり、やっと部屋に沈静が戻ったかと思ったら、……何やら今にも死にそうなほど低い声が背後から。

それは確かめるまでもなく、リンが発したものだろうが、先程の甲高い声と違って唸っているように聞こえる。


ちらり、と背後を振り返れば、今にも綺麗に倒れそうな程ふらふらしたリンがうとうと、と首を落としていた。





「……………寝ればいいじゃねぇか」


深い溜息をついて呟けば、リンは押し黙って眠たげな顔をゆっくりと上げた。

………悲惨だ。元々綺麗な彼女の顔が、何年も放置された梅干しみたいになっている。

かなり眠そう……いや眠いのだ。

彼女はレオナとは逆に、何故か三日三晩寝ていないのだから。



「………レオナ、眠い」


「…寝ろよ。俺も自室で寝てくるし」


「………嫌だ。此処にいてよ。一緒に寝ようよ…」


「……………」



すんなりと気恥ずかしい事を言う彼女には、いつもの覇気はない。
言葉に詰まるというか、言葉を発せなかった。



なんでだ。なんでこんなに甘えてくるんだ。

これは男子にとって喜ぶべきことなのか。そうなら自分は男子でない気がする。

いつもと全く違う彼女に、寒気が起きる。申し訳ないが自分は喜べません。


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