ゴッドネス・ティア
続いて、もう一本。



「二本目!!」

「三本目!!」

「四本目!!」



次々と投げていく。



「ラストーーーーー!」



ついに十本目だ。


ピートは本当に命中力がいいらしこれまでまだ一本も外していない。


これで当てられたらアランの勝利は無いも同然だろう。


緊張が駆け巡るラストの一本。
のはずなのに本人のアランは平然とその様子を眺めていた。


何処からくるんだ。その自信は…


ピートは最後の一本を枯れ木へ目掛けて投げた。


だが、ずっと連続で投げていたせいか集中力が切れて枯れ木を擦れる。


小石は枯れ木には当たらず、固い地面へと落下した。


一本程外してしまったピートは悔しそうに地面を蹴る。


小さくチッと舌打ちをした。

…子供のくせに感じ悪い。



「一本外したか…まあいい。
さあ、俺に勝てるかな?」



自信に満ちた笑みをアランに見せる。



「おいっ、ヒサノどうすんだよ!
九本ってすげぇじゃねーかっ!
アラン勝てんのか?!」



二人に気付かれないように小声で話しかける。


その問い掛けにヒサノは何だそんな事か、と小さく溜息をついた。


なんだ、その態度は。



「アランは勝ちますよ。
でも万が一負けたらあのピートって子……ファン様に逆らったということで私が罰を与えます」



サラリと酷い事を呟いた。

不敵な笑みが更に恐い。



「罰ってどんな…?」



引き攣り笑顔でヒサノに問う。



「…さあ?自分で考えて下さい」



不敵な笑みからスローモーションで爽やかな微笑みへ移り変わる。


爽やかななのだが、後ろにどす黒いオーラが漂っているのは何故だろう?


無意識にヒサノから目を逸らしてしまった。


女って恐い……!




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