ゴッドネス・ティア




「………………」



絶句。一時停止。

つい今リンが口にした言葉がぐるぐると頭の中を回る。

回っているのだが、その言葉の意味をよく理解出来なかった。意外過ぎて。

やっと理解して口から出た声は、予想以上に震えていた。

怒りではない。恐怖ではない。寒さでも武者震いでもない。


それは抑え切れない程の……


















「……………ぷっ…」


堪えていた感情のダムが崩壊した。








「あ、あはははっ!はっはっははは!!あ、ありえねぇよお前!!何だよ暗いところが怖いって…!どんなキャラなんだよ!……あははっ、ははは!!あはははは!!!!」



………笑い転げ始めた。

何故か、笑ってしまう。

あのいつも飄々としたリンが…怖い物なんてなさそうな脳天気リンが……虫が怖いとか雷が怖いとかいう女の子によくありそうなことならまだわかるが、暗がりが駄目だなんて。

意外過ぎて笑ってしまう。否、笑うしかない。



「てゆーかさあ…!怖いから三日も寝なかったのかよ…!ランプでも点けて寝りゃいいのによ…!じゃあ今まで馬車で寝る時は大丈夫だったのか?」



目の端から滲み出た涙を指で拭ってリンを振り返ると、彼女は困ったように眉を下げた。

何故自分が笑われているのかイマイチ分かっていないようだ。




「…アタシ暗い所は駄目だけどー、…誰か人がいれば大丈夫なんだ。だから一昨日さ、眠れないからアラン君の部屋を訪ねてみたんだけど…………留守だった」







リン、そりゃ居留守だ。

ということは、しゅーんと更に眉を下げるリンには言えず、きっと未だに財布を盗まれた事を根に持っているアランに苦笑した。



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