ゴッドネス・ティア
「…………!!!」
そうだ。あの存在を忘れていた。
潤んだ瞳で至近距離にありすぎてよく見えない男を睨んだ。
これさえあれば、こんな男…………。
ポケットに手を忍ばせ、いつも肌身離さず持っている物を取り出した。
持ったまま、……憎き男の顔をその両手で覆った。
「……………ぅあ゙あ゙ッ!!!!」
予想通り、男はヒサノから飛びのき、ベッドから転がり落ちた。
赤茶の髪を振り乱し、痛みに震える。
その頬は火傷のように赤くなっていた。
火傷は……手形。
「はぁ……っ……はぁ………!」
自分から離れた瞬間、男から一番遠い部屋の隅に逃げたヒサノ。
涙は今も収まらないが、ほんの少し安堵の表情が伺える。
両手に大切な大切な……自分を守ってくれた巫女の鈴を大事そうに握りしめた。
先程、男から逃げるために、巫女が使う治療術を発動させる源力……『法力』で光を生みだし、男の頬に全力で光を浴びせてやったのだ。
光だって集まれば熱い、火だって作り出せる。
小さく呻いてもう襲ってこなさそうな男を見遣ると、へなへなと床に座り込んだ。
涙が頬を伝う。男を睨む元気なんてない。
怖かった。とてつもなく、怖かった。
座ったばかりだが、ゆっくり立ち上がり、部屋の出口へ向かった。
こんな得体の知れない男と一分一秒でも一緒にいたくない。
涙を流しながら、ヒサノは自室から逃げ去った。
とにかく、知っている仲間のところへ行きたかった。
ふらふらとした足どりで、ヒサノは隣の部屋へ逃げ込んだ。
そうだ。あの存在を忘れていた。
潤んだ瞳で至近距離にありすぎてよく見えない男を睨んだ。
これさえあれば、こんな男…………。
ポケットに手を忍ばせ、いつも肌身離さず持っている物を取り出した。
持ったまま、……憎き男の顔をその両手で覆った。
「……………ぅあ゙あ゙ッ!!!!」
予想通り、男はヒサノから飛びのき、ベッドから転がり落ちた。
赤茶の髪を振り乱し、痛みに震える。
その頬は火傷のように赤くなっていた。
火傷は……手形。
「はぁ……っ……はぁ………!」
自分から離れた瞬間、男から一番遠い部屋の隅に逃げたヒサノ。
涙は今も収まらないが、ほんの少し安堵の表情が伺える。
両手に大切な大切な……自分を守ってくれた巫女の鈴を大事そうに握りしめた。
先程、男から逃げるために、巫女が使う治療術を発動させる源力……『法力』で光を生みだし、男の頬に全力で光を浴びせてやったのだ。
光だって集まれば熱い、火だって作り出せる。
小さく呻いてもう襲ってこなさそうな男を見遣ると、へなへなと床に座り込んだ。
涙が頬を伝う。男を睨む元気なんてない。
怖かった。とてつもなく、怖かった。
座ったばかりだが、ゆっくり立ち上がり、部屋の出口へ向かった。
こんな得体の知れない男と一分一秒でも一緒にいたくない。
涙を流しながら、ヒサノは自室から逃げ去った。
とにかく、知っている仲間のところへ行きたかった。
ふらふらとした足どりで、ヒサノは隣の部屋へ逃げ込んだ。