ゴッドネス・ティア
なんで。なんでこんなところに…。

なんで…………















「い…………っ…」





冷たくなった両手で微かに熱い両頬を覆った。

大量の息を吸い込み、声帯が震えた。





















「いぃぃいいいぃやぁぁぁあああッ!!!!!!」











バッチーーーーン!!


「――……てぇっ!!」





綺麗な肌と肌が打ち合う音の後に、頬を紅葉形に張らせた少年が勢いよく起き上がった。

その瞬間、また同じ効果音と共にやってくる先程とは違う頬への痛み。


なんだか意味がわからないが、少年……レオナは悶えるようにベットに突っ伏した。

頬が痛い。本気で叩きやがった。




頭上からは忙しく呼吸を繰り返す音。

ゼェハァと息をしながら目下にいる赤い少年レオナを、……瞳に涙を溜めたヒサノは睨んでいた。







「こっの変態っ!!!なーんであんたが、…なんであんたがレディのベットで平然の寝てんのよ!!何?この麗しい女性リンとかいう美女と一晩ともに過ごしたわけ?熱々?熱々なの?昨夜はどれくらい燃えたわけ?どうなのよ。ねえ。…答えなさいよ変態!馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿ぁぁあっ!!レオナの馬鹿ぁあ阿呆ぉぉ!うわーん!!」







………どうやら泣き叫んでいるのはヒサノらしい。

泣いているところ申し訳ないが、寝起きに二発くらった自分の方が泣きたいと思った。

寝起きにこれ。全く意味がわからない。誰か説明してくれ。


のっそりとベットから起き上がり、ヒサノのせいで頬より痛む頭を押さえた。

昨日ぶりのヒサノを見ると、まるで幼児のように目を擦りながらわんわんと泣いている。

大泣きだ。どうしたものか。



「待て、何なんだ一体。なんで俺は殴られたんだ。てゆーかなんで泣いてんだ」


「ぅわぁぁあん…ぅああああぁ…ひっくふえぇぇんっ……」



ごしごしと、とめどなく溢れる涙を水玉模様のパジャマで拭う。

擦り過ぎて目の周りは酷く腫れぼったい。


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