ゴッドネス・ティア
「………なんだか騒がしいね」
「御最も。貴方のお仲間は随分と緊張感の無い御様子で……わたくしローゼリアンとっても楽しくて仕方がありませんねーフッフフフフフ……」
相変わらず不気味な笑みを浮かべる占星術師ローゼリアン。
その傍で少年は、もう慣れたのか彼の不気味さには一切無視だ。
完全に頭を出した太陽が二人を遠慮なく照らす。
だが、気候の変化の激しいこの地帯。きっと後数分もすれば輝かしい太陽も厚い雲によって閉ざされることになるだろう。
相変わらず真っ黒な目の前のなかなか大きな家に視線を移し、少年は溜息をついた。
「じゃあ僕はそろそろ戻るよ。最近あんまり皆に顔出してなかったし。不審に思われたら嫌だから」
「そうですかそうですかー。まあ元々貴方の存在は不審ですが、さすがに仲間に怪しまれるのは嫌でしょうねぇー。哀れんでおきますよ」
「……五月蝿いな、黙ってなよ」
「フッフフー、そんな睨まなくってもいいじゃありませんかー、おおー怖い。心が痛みますよ。ああー痛いですよ口から心臓がボロッと出てきそうですよー」
「…………」
欝陶しいなこの男。
前々から思っていたが最近更に欝陶しさが増してきたんじゃないかと思う。
もう一度一睨みして、踵を返した。
ローゼリアンは相変わらず、水晶を片手に目まで覆うフード着用。怪しまれないのはここがあの魔女の村だからだ。
大きな口で不気味な微笑みを浮かべて、鋭利な爪を生やした手をやる気なさ気に少年に向けて振った。
「ご検討をお祈りしといてあげますよ。……またお会い出来るのを楽しみにしておきますね。
…………クリスティン殿」
「…………」
朝日を背に、小さき少年は何を背負っているのか。
先の事を見続けるその眼差しは、………誰のためなのか…。