ゴッドネス・ティア
「あれー?レオナ君はどこに行ったのかなー?俺あの子と仲良くしたいんだよなー」


「やめてくださいよ冗談じゃない。レオナに変態箘が着くじゃないですか」


「変態箘かー……………男は皆変態だぜヒサノちゃん」


「そんなことないですよ。貴方と違って」


「………あはは、ヒサノちゃんかーわいーい。君モテるでしょ?今まで何人と付き合ったの?」


「…………モテませんし、貴方には関係ありません」





絡まれては交わし、交わしては絡んでくる。

欝陶しい。欝陶しい欝陶しい。


クレストのあまりにもの欝陶しさに苛立ちながら、ジョージの用意したホットココアを口に含んだ。


ちなみにレオナといえば、国王騎士が朝っぱらに帰って来たと聞き「いろいろ世話になったから挨拶に行ってくる」とか言って国王騎士を迎えに行った。

変なところで律儀だ。





「つーかさー、ヒサノちゃんって……」


「…………?」



一度言葉を切ってこちらをじーっと見てくるクレスト。

ヒサノは不思議そうに顔をしかめながら、なかなか美味なココアをまた口を含んだ。



「ヒサノちゃんってレオナ君のこと好きなの?」


「―――…ぶほぉッ!!」


「ぅぎゃあっ!!」



喉を通りかかったココアが気管支に入り込み、吹き出してしまった。

それより気管支に入ったかどうかの問題ではなく、この憎きクレストの言葉が何よりの元凶だと思う。

クレストといえば、ヒサノの吹いたココアを熱いまま丸ごと被り、赤茶の髪をまた上回る茶色がこびりついてしまっていた。

奇妙なことに、黒いソファやガラステーブルには一切かからず、クレストへ全てをぶちまけている。

よってサロナの私物にはココアなど全くかかっていないのである。



「あ、熱っ………熱いぜヒサノっち!!」


「黙らっしゃい!この変態め!あんたのせいで下品なことになっちゃったじゃないの!!うざいんじゃボケ!!」


「ええ!ヒサノちゃんそういうキャラ!?」




< 420 / 506 >

この作品をシェア

pagetop