ゴッドネス・ティア
小さく首を傾げる少年を見て、今度はクレストが大きく首を傾げた。

まだ痛む鳩尾付近を撫で立ち上がる。


「…もしかして、坊ちゃん…まだ言ってないんですか…?」


「……言う必要があるのか?」


「いやいや、やっぱりね、やっぱり長ーい間行動を共にしてるとさ、親近感って沸いて来るじゃないスか。…そういう類の話を一切しなかったんスか…?」


「……………………………しなかったな」



苦笑いを浮かべるクレストを前に、スノーリアはしばらく考えこんだ後答えた。

その瞬間クレストはガクーッと肩を落とす。


「なんてことですかー!じゃあ俺がこの少年達に最初っから順を追って説明しなきゃいけないんスか?」


「ああ、そうなるな」


「坊ーーっちゃん!貴方はなんで昔っからちょっとだけおバカさんなんですか!ちょっと間抜けの坊ちゃんも坊ちゃんらしくて俺は大好きですけどそれはないんじゃないですかー!」


「……すまん」



泣いた後には喚きだしたクレスト。

それに、スノーリアは珍しく謝罪の言葉。何かスノーリアに非があるのだろうか。


ただ呆然と二人を眺めるレオナとヒサノには全く話という話がわからなかった。



クレストとスノーリアの話し合いがどうにか終わったらしく、クレストが深く溜息をついてヒサノの隣に深く座った。

スノーリアに先程自分がココアを被った事件場所である正面のソファを勧め、レオナをその隣に座るよう促した。












「………いいかなレオナ君、ヒサノちゃん。今から話す事は君達にとって大切なことなんだ。どこかのお間抜けさんが話す必要ない、とかおかしなこと言ってたけど、これは一応知っておいた方が絶対いいから、しっかり聞いててな?」


相変わらず笑みを貼付けたクレストの表情。だがその瞳は確かに真剣だった。















「……なんかよくわかんねーけど、大人しく聞いてる」


「……私もしっかり聞きますね」


「じゃあクレスト、頼むぞ。………クレスト、貴様何か臭くないか?甘いというか…顔も少し茶色いぞ?」


「空気読もうね坊ちゃん」


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