ゴッドネス・ティア
「でさぁ、頼みなんだが」

「えっ…?」



ピートからの頼みなんてなんか気持ち悪い、きっとパシリかなんかなんだ、と失礼なことを考えているとピートは先程とは打って変わって照れながら頭をかいた。



「暇な時でいいからさぁ…弓矢、俺に教えてくんねぇか?」



予想外な展開にアランは目が点になった。


何故、今までの過程でそうなるのかと考えながら首を捻る。



「だ、ダメか…?」



お願い!というような目で見つめてくる。


逸らそうにも逸らせない。



「な、なんでいきなりそう思ったの…?」



引き攣り笑顔でピートに問う。


すると、ピートはボッとこれまで以上に顔を赤くして青春真っ盛りのような表情を見せた。



「お、俺だって…そういうのやってみたいんだも〜ん」



も〜ん、ってあんた…、とツッコミをいれたかったがピートの目線の先をみてそんなこと引っ込んでしまった。


アランを見て赤面している女の子、たしかキャティと呼ばれていた。


なんと、ピートの視線はその娘一直線なのだ。


しかも、なんだか熱い視線。


そういうことか、とアランは小さく笑った。



「いいよ、でも今は無理だから旅から帰って来てからね」



ピートの恋路を応援するため、アランは頼みを受け入れた。


つい先程まで仲の悪かった二人に友情いう芽が開きつつある。


ピートはアランの答えに顔を明るく輝かせ、嬉しそうにアランに抱き着いた。



「ぐふぅっ!」



抱き着いたと、いうより飛び付いたというかんじだが。



「じゃあ、絶対帰って来いよっ!」



抱き着いたまま、嬉しそうに顔を綻ばせるピート。


先程の見下し笑いが嘘のようだ。



「うん、じゃあ今日から友達だねっ!」



アランは今日、新しい友達ができましたとさ。



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