ゴッドネス・ティア
「それで……ベルがどうしたのだ。何故ベルが一々お前をこちらに寄越す必要がある」


「お、やっと本題に入れますね。じゃあ皆様に、この『情報屋クレスト』がお話致しましょう!」



やっと本題を振ってきたスノーリアに笑顔を向け、クレストはまたも話を始めた。

待ってました!と言わんばかりの笑顔のままで、何処からかメモ帳のような物を取り出す。
何処から取り出したのかは不明。


ちなみにベルというのは、ダーレイン家の当主である女性の名らしい。

きっとスノーリアの母親か姉かのどれかだろう、とレオナは思う。

それとも従姉妹か叔母か。まあそういう細かいことは気にしても仕方ないから頭の隅の辺にでも放っておいた。










「実はここ最近、人間の大国…ヒュネットの動きが怪しくてですね…」



つい朝方の馬鹿騒ぎが本当に馬鹿みたいに思えてくるような真剣な表情で、クレストは言った。

スノーリアは息をついて小さく頷く。




「……そのことなら…最近、何となくだが…気付いていた」


「……さすが、我等が坊ちゃん。
どっかの馬鹿がこちらの陛下が悪い企みをしてるとかしてないとかいう曖昧な情報をあちら側に流しやがったらしく………ただでさえいつも敵対意識を向けてくるあちらの歳老いた王がこちらをかなり警戒しているみたいで……もしかしたら、一波乱あるかもしれないっスよ」


「…………やはりベルも気付いていたか」



クレストがその情報とやらをに告げると、スノーリアは得に驚く様子もなく、静かに瞼を伏せた。

まるでこんな事になるなど予想がついていたように。


大人二人の会話に入れず、首を傾げていたレオナは小さく声を漏らした。



「……ヒュネット…一波乱…悪い…企み…?」



なんだか不吉な単語ばかりだ。

ヒュネットととの戦争が終わって、十数年。

表には出していないが、…両国の関係は険悪だ。


得にヒュネット側はいつでも何処でも敵意剥き出し。今此処で一波乱あれば両国の関係は更に悪化し、最悪戦争の再開という形になるかもしれない。



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