ゴッドネス・ティア
混乱した頭のままレオナが呟いた単語を、クレストはバッチリと耳にしていた。


興味を持ってくれると嬉しいらしく、始終笑顔のままクレストは続けた。



「そうなんだよレオナ君。表ざたにはなってないけど、裏側にはすんげー噂なってるんだぜ。まだ確定はしていないんだが、人間側の国王騎士が動き出しているかもとかいう情報も…」


「……う、裏側…?…人間側の…国王騎士…?」



先程から……クレスト、喋りすぎだ。

まだ単語も覚束ないレオナやヒサノやアランにとって、クレストの話は脳に優しくない。


レオナの隣で、ヒサノとアランは揃ってかわいらしく首を傾げた。



「裏側って……なんの裏側ですか…?」



ヒサノが代表して問うと、クレストはあからさまに苦い笑みを見せた。

なんだかめんどくさそうだ。



「……おっとー…。まずそこから説明が必要か。そういえば君達は表側の人だもんねー」



しょうがないしょうがない、と笑いながら、少しお疲れなのか天井に向かって大きく延びをした。

延びた瞬間、聞こえていい気はしない間接音が盛大に響いたが、無視することにした。



「……さて、時間もあんまりなさそうだし、簡潔にいくぞ。
裏側っつーのはー…あれよ。光があれば影があるように、表がありゃ裏があるだろ?それだよ」


「いや、意味わかんねーよ」



簡潔すぎだろ。

主語と述語、ついでに補語や目的語を正確に使って頂けると有り難い。


イマイチ何が伝えたいのか解らないクレストの答えに、子供三人は言葉にはせずとも胸の内ではブーイング嵐。

なんだか痛々しい視線にたじろぎながら、クレストは一つ咳ばらいをしてまたもや口を開く。



「……君達が生活してんのは、お国の法律や政治に守られた表の世界だ。
裏側ってのは…そんな表の世界に縛られることのない、表の奴らが出来ない事が出来る世界だよ。例えば…君達でも解るのは…暗殺とか、密輸とか…かな」



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