ゴッドネス・ティア
クロエが勢いよく出て行ったせいか、執務室のドアは乱暴に閉められた。

一際大きな音が室内に響き、微かに煩わしそうな表情をするエリザベート。


その瞬間。傍らで、ゆっくりと何かが動いた。

その、何かを振り向いて、エリザベートは滅多に見せない微笑みを微かに浮かべる。





















「……おはようございます陛下。お早いお目覚めですわね」



先程までだらし無い体制で眠りに落ちていた人物が、小さく唸りながらゆっくりと顔を上げた。

金色に輝く長髪が肩から流れ落ちる。




「……おはようエリー…。……私は何分眠っていた?」


「……ほんの少しですわ。お気になさらず」


「…そうか。……あれ…?クロエは何処に…」


「クロエならハーブティーを。目が覚めるでしょうから」


「ああ…すまないな。ありがとう」


「いいえ、当然のことですわ陛下」




まだ眠たげな表情でエリザベートを見上げる人物。

まだ成人にも達していない若きその者は、そう。










「陛下がお眠りになっている間に、クロエが報告書を受け取って参りました。お読み致しましょうか?」


「……報告書?国王騎士からか?」


「ええ、国王女五大騎士よりのご報告でございます」


「…………読んでくれ」



先程クロエから預かった報告書を取り出すエリザベート。

疲れた目を押さえる目の前の人物に、ゆっくりと向き直った。



「では、拝見させて頂きます。

――…レオナルド国王陛下」


























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